『哲学雑誌』に論文が掲載されました。

下記の論文が『哲学雑誌』に掲載されました。

原和之,「生成を語る―精神分析と哲学―」,in 『哲学雑誌』第138巻811号,哲学会/有斐閣,2024年10月,pp. 25-44.

昨年11月のシンポジウム「「世界哲学」という視点」での発表を論文化したものです。世界を見渡してみると、精神分析と哲学の間にはさまざまな関係性がありうることがわかりますが、その具体的な事例として20世紀前半のフランスを取り上げ、アレクサンドル・コジェーヴとラカンによる共同執筆の企てとその挫折を入り口に、「欲望の欲望」を理解する二つの仕方が、生成を語るという共通の課題に関して、哲学と精神分析で異なった取り組みを生んでいるということを示そうとするものです。論文の最後では、この差異が今日も問題になることを示すため、アクセル・ホネットによる精神分析理論の援用に対するブラジルの哲学者ウラジミル・サファトルの批判を簡単に紹介しました。ご高覧頂ければ幸いです。